悩みに沈む人には、日が当たる人以上に言葉が必要 -言葉には心が宿る-

Rectaflex / Xenon 50mm f2.0 (Ilford DELTA400)
コラム

コラムニストの竹内政明さんが、

若き日に北海道大学を受験した思い出を講演で紹介した。

試験の後日、合否電報が届く。

「ポプラナミキユキフカシ サイキヲイノル」

つまり不合格。

浪人して翌年、再挑戦で合格した際の電報は

「クラークホホエム」だった。

 

合格者への電文8文字に対し、

不合格者には倍以上の18文字。

この出来事を通し、竹内さんは感じたという。

悩みに沈む人には、日が当たる人以上に言葉が必要だ

 

7年ほど前、東日本大震災による津波で自宅を失った男性に、

台湾の慈善団体から支援の品が送られた。

その中に一人の少女が書いたメッセージカードが。

「心身」「健康」「福」……

漢字から、復興を祈ってくれているのだと察した。

 

彼は、その言葉を心の支えにした。

昨年、被災地に慰問演奏で来たある楽団が、

カードのまつわるその話を聞き、

”来夏の台湾公演に同行しないか”と彼を誘った。

今年8月、台湾を訪れた彼を待っていたのはカードを書いた少女。

日本の関係者や台湾のテレビ局の協力もあって実現した”サプライズ”だった。

 

初対面にもかかわらず、この出会いを彼は「再会」と言った。

少女の言葉にどれほど励まされてきたのかが分かる。

言葉には心が宿る。

国境や世代を超えて、共鳴していく。