「東京タワー」の愛称で知られる「日本電波塔」が今月、竣工60年を迎えた。
テレビ放送等の電波送信を目的とした同タワーは完成当時、世界一の高さを誇った。
設計を担ったのは、内藤多仲氏。
大阪の「2代目通天閣」や愛知の「名古屋テレビ塔」、福岡の「博多ポートタワー」等も建てた”耐震構造の父”である。
地震と台風の多さから、”日本で高層建築は不可能”という定説があった。
そこに、世界一のエッフェル塔(324m)を超える等を造るという計画である。
当初、氏は鉄筋コンクリート構造を考えたが、それでは重すぎて地震の影響を強く受けてしまう。
検討の末、鉄骨構造に転換。
さらに、長いアンテナ等に対する強風雨等の影響を考慮し、設計をやり直した結果、等の高さは333メートルとなった。
建築物は、ただの鉄や石の塊ではない。
人間の精神の結晶である。
後世に残る大事業には、想像を絶する先人の努力がある。
想像力、緻密な論理的思考、そして成功を信じる鉄の意志、一からやり直すこともいとわない柔軟さ、多くの英知を結集する求心力。
労苦なくして成し遂げられる偉業はない。
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