”人を取材するのが仕事”と語る、ノンフィクション作家の梯(かけはし)久美子さん。
多くの出会いの中で最も心に残る一人に、クイズ番組の司会者などでも活躍した、俳優の児玉清さんを挙げた。
梯さんの著作の刊行を記念する対談でのこと。
児玉さんは付箋だらけのゲラ刷りを持って現れた。
そして、どこに心を打たれ、何を考えたのかを一つ一つ語っていく。
梯さんの話にも熱心に耳を傾けながら。
その姿に「感謝を通り越して圧倒されてしまった」と梯さん。
印象的だったのは、多忙なはずの児玉さんが醸し出す”あなたのための時間はいくらでもありますよ”という雰囲気だ。
その訳を「目の前にいる相手に、その時の自分のすべてを惜しみなく差し出しているからだと思う」と振り返る。
人と会っていても、時間や他のことが気になってしまうことがある。
そうした気持ちは相手に伝わるもの。
時間に限りがあるからこそ”目の前の一人”に全精魂を注ぎたい。
インドのガンジーは言った。
「何千という人々すべてを見回すことは、必要じゃない。あるとき、一人の命に触れ、その命を救うことができれば、それこそ私たちが作り出せる大きな変化なんだ」
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